8つの分野
アーユルヴェーダ医師はヴァイドヤと呼ばれ、栄養学や心理学、薬草学、気候学に加え占星術や宝石療法についても多くの知識と技術を持ち合わせています。

アーユルヴェーダ医学には以下の8つの分野があるとされています。
- 一般外科・形成外科
- 一般内科
- 老人医学科
- 耳鼻咽喉科
- 毒物学科
- 産婦人科
- 小児科
- 若返り療法
アーユルヴェーダ医学での病気の発生理論では、体・心・魂・パンチャマハブータ(5元素)の相互関係が重要視されています。
パンチャマハブータとは森羅万象あらゆるものを構成するとされる5元素(風・火・水・空・地)のことです。
人間は五感(耳・皮膚・舌・鼻・目)でこれらの5元素のエネルギーを感じ取り、体内に吸収しています。
これら5元素は互いに作用しあって互いを誕生させています。
アーユルヴェーダでは、私たち人間だけでなく、この世界のあらゆるものはこの5元素で出来ていると考えます。
- 風:筋肉、腸と肺の働き、細胞の働き、触覚などに関係
- 火:酵素の作用、消化系、知能、代謝などを刺激
- 水:血しょう、血液、唾液、消化液、細胞液、粘膜などを支配
- 空:口、鼻孔、腹腔、呼吸器官などに関係
- 地:骨、爪、歯、筋肉、皮膚、髪などをコントロール
健康な人の身体では、この5元素と五感がバランスよく調和していますが、病気になると5元素のどれかがバランスを崩していると考えられているのです。
病気の原因の考え方
アーユルヴェーダは、生活の中で誰もが実践できる予防医学です。
アーユルヴェーダでは西洋医学と異なり、病気になる前に防ぐことが真の医学であると考えられています。
では、病気が起こる理由とはどのようなものなのでしょうか。
まず病気になった時、アーユルヴェーダ医師は患部を侵しているドーシャ(エネルギー)を特定しようと努めます。
アーユルヴェーダにおいて、心身のバランスはご飯を炊く状況に例えられます。
吹く風をヴァータ(風のエネルギー)、ご飯を炊くために燃える火をピッタ(火のエネルギー)、米と水はカパ(水のエネルギー)と例えます。
健康な状態とは、風(ヴァータ)・火(ピッタ)・米と水(カパ)がちょうどよい状態で適量の米を炊いている状態です。
適量のおいしい米が炊けると栄養が取れ、元気で健康になります。そんな元気の素はオージャスと呼ばれます。
反対に不健康な状態とは、風・火・米水のうちどれかがアンバランスになっている状態です。そんな状態ではおいしい米が炊けずに、体の中で消化できず、未消化物を作ってしまいます。このような未消化物のことをアーマと呼びます。
アーマは身体の中の通り道をふさいでしまうほど粘着質で、病気の原因であると考えられています。
生命エネルギーのオージャス
オージャスは、生命エネルギーであり心臓のチャクラにあると考えられています。

チャクラとは脊髄に沿う体の中心線上にあるとされるエネルギーの中心のことです。
オージャスは身体全体を巡っており、私たちはオージャスがあることで生きることが出来ます。
反対に体のどこかのオージャスが壊れてしまうと死に至ってしまうのです。
病気の時、オージャスは弱まっており、強くすることが出来れば病気を治すことが出来ます。
西洋医学医師には原因が分からず、治療の難しい病気(エイズ・癌など)でも、アーユルヴェーダ医師はオージャスの低下に着目して考えることが出来ます。
オージャスを高めるには、習慣的な瞑想が大切です。感覚を刺激しすぎないことが大切で、食べ物からもオージャスの生成を手助けすることが出来ます。
オージャスの補充に良いとされる食べ物には、ミルク・サフラン・アスパラガスなどがあります。
オージャスは怒りや不安などの感情、リラックスできる時間の不足によっても減少しますが、年齢とともに減っていくものだと考えられています。
それでは次に、私たちを構成する5元素と健康に大切なバランスについてもう少し深く考えてみましょう。